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新興成長国基礎データ
中国株レポート
・投資の視点
1. 長期投資
としての株式
2. 長期投資
としての日本株
3. 規制緩和と株価
4. 長期投資とし
ての日本国債
5. 子供にたかる
日本人
6. 日本人の年齢
7. 日本が世界に
誇る経営2社
8. 大幅な通貨
調整の歴史


子供にたかる日本人


投資の視点
日本の若者は未来に対して夢を持っていないといわれます。将来の自分の生活が今より良くなるかという問いに対しても「悪くなる」という答えを寄せる若者が多くなっているそうです。

経済成長しないどころかバブルという前世代の起こした失敗の負担を強いられている、高齢者が溢れかえり若者は彼らへの肉体的かつ金銭的援助を強いられるといった若者が背負わなければならない負担を考えてみれば将来を悲観するのも当然かもしれません。

こうした若者への負担がいったいどの程度あるのかを考えるときに「世代間会計Generational Accounting)」といったものが役に立ちます。

日本銀行金融研究所Institute for Monetary and Economic Studiesというところで世界の世代間会計を調べたレポートがあります。

世代間会計とは、現在の政策が将来も継続する場合に、医療や年金給付等の政府からの受取り金額から税金や社会保険料の支払額を差っぴいた金額を世代毎に計算したものです。

このレポートによれば、世界的に見て世代間の不均衡が最も大きいのは日本なのだそうです
上のグラフは各世代毎の世代会計金額です。

例えば0才の子供がその生涯に医療や年金給付等の政府からの受取り金額から税金や社会保険料の支払額を差っぴいた金額の現在価値は約1400万円ということです(経済成長率を1%、金利を5%として)。

一方で彼の生涯収入の現在価値は4600万円ですから生涯税率は30%ということになります。現在の世代の中で最も負担が30才の世代でネット税額は2800万円です。

一方、最も負担が軽いのは65才の世代でネット税額は450万円の受取り超になります。

何故若い世代の負担が大きくて今の高齢世代が得をしているかの理由は3つあります。

1つは現在の社会保険、公的年金の給付が世代間の賦課方式になっていることです。

このシステムは人口ピラミッドの横の軸に変化が無くてどの世代も同じ人口構成になっている事が必要なシステムなのですが現実は違う事です。

賦課システムも最初の時に十分な積立金を持つ仕組みにすれば問題も少なかったのですが現実は積立て不足です。

2つめの理由は急速な高齢化と少子化の進展です。良く言われるように2人の若者で5人の老人を支える仕組みになっている状況になってしまったことです。

3つめは将来世代への負担先送りシステムの国債地方債の大規模な発行です。

国債の発行は90年代に入って加速しています。現在の財政投融資は殆ど不良債権に近いために将来の大量な国債発行要因と考えられますが、このことは計算には入っていません。

同じ日本人とは言っても、世代間で見れば耐え難いほどの不均衡があるのです。このために、若者が将来に夢や希望を持てないのも分からないではありません。

また、今の日本人で世代会計の恩恵を受けているのは60才以上の高齢者ですが、彼らは日本の貯蓄を一人占めしているという側面もあります。

現在働いている50歳以下の層も貯蓄は持ってはいますが、高い値段で買った住宅等のための借金も多く抱えているために、純貯蓄は殆どマイナスです。

つまり、今の日本の若者は金持ちでありながら税金を支払うどころか受取るばかりの高齢者のために働いているということになります。

日本の若者達が儒教の伝統に忠実で上の世代に奴隷のように従順であれば良いのですが、今後はどうも違うような気がします。

一番かわいそうなのはこれから日本に生まれてくる子供たちです。彼らのネット税額は3670万円です。生涯税率は信じられない事に80%ということになります。

もし、これから子供を作ろうと考えている方、再考して下さい。あなたのこれから産まれてくる子供は税金を8割もとられるのですよ。そんな酷いめに子供をさらすのですか?

この世代会計の世代間不均衡は経済成長率とインフレ率によっても変ってくるものです。つまり、ベストなのはインフレ率と経済成長率が共に高い経済状況です。

もしそうなれば不均衡は少なくなって行きます。

しかし、世界的デフレと人口の減少や老齢化による経済の縮小が予想される状況では経済成長率とインフレ率が共に低いどころかマイナスの可能性も高いようです。

こうした状況を打開しない限り日本の未来はなさそうです。

では、どうすれば良いのでしょうか?

直ちに公的歳出の26%をカットするか、社会保険料や税金の収入を15.5%引き上げなければ世代会計は均衡しないようです。

給付額の減少を政府は主力だと考えているのですが、果たして実行できるでしょうか。景気対策とは言いながらも、国債を増やして債務を増やす事はこの方針に真っ向から反対するものです。

では、現在さかんに喧伝されている401K方式の年金への移行といった賦課方式から積立て方式への変換が良いのでしょうか?確かに解決策の1部を賄えそうです。

しかし、これは現役世代つまり我々やもっと若い世代が自分の老後のための積立てと高齢者世代への支払いといったより二重の負担を負わなければなりません。

現役世代つまり我々やもっと若い世代が上のグラフからも分かるようにただでさえ高い負担を強いられているのをもっともっと負担しろというのと同じ事ですから耐え難いものとなりそうです。しかし、将来世代につけを回す事は出来ません。

こうした世代会計の状況をもっと日本で考えてほしいものです。


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